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「SaaSの死」は本当か?AI時代に生き残るSaaSとは

「SaaSの死」は本当か?AI時代に生き残るSaaSとは

はじめまして、Reminusマーケティング担当の山下です。

「SaaSの死」という言葉を、最近よく耳にするようになりました。
これからSaaSは本当に死ぬのでしょうか。

私はそうは思っていません。
今まで通りのSaaS経営だと厳しくなっているのは間違いありませんが、今まで以上に本質が問われるフェーズに入っただけだと考えています。

この記事では、私が様々なSaaS経営をマーケティング目線で見る中で感じた
AI時代において「生き残るSaaS」と「淘汰されるSaaS」の違いを語らせて下さい。

SaaSの厳しい現状

まず前提として、SaaSというビジネスはシンプルです。

いかにして
LTV(顧客生涯価値)を最大化し、CAC(顧客獲得コスト)を最小化するか。

つまり、
LTV ÷ CAC(ユニットエコノミクス)を健全に保ちながら、
トップライン(売上)を伸ばす
ゲームです。

ユニットエコノミクスについて

しかし今、このゲームの戦い方が大きく揺らぎ始めています。
理由は大きく2つあります。

① マーケティングコストは上がり続けている

SaaS企業の競合は増え、広告費は高騰しました。
情報収集系の検索は徐々にAIへ移行し、SEOの難易度も高まりました。
ホワイトペーパーやセミナー施策も、大量に溢れています。
電話番号を獲得しても、AIスクリーニングで繋がらない、といったことも今後は増えるでしょう。

このように、CAC(顧客獲得コスト)は今後も上がり続ける構造になっています。

② LTVの前提が崩れ始めている

これまでのSaaSは、
・人がログインする
・人が入力する
・ID数に応じて課金する
という前提で成り立っていました。

しかしAIエージェントの普及により、
・人が操作しない
・AIが裏で実行する
・ユーザーIDが増えない
という変化が進み始めています。

実際、chatGPTやClaudeなどのAIによって、私自身の働き方は大きく変わりつつあります。

この変化から、課金形態も、ID課金ではなく処理量課金への移行が進むでしょう。
今までは登録してくれるだけで課金が発生していたところから、活用してくれないと課金されなくなります。
※私個人的には、今までの課金形態はユーザーにとって不親切で、提供価値に応じた課金形態が本来の在るべき姿だと思っていますが

このように「CACは上がる一方で、LTVは下がりやすくなる」
という、ハードモードにSaaSは突入しています。

「株価」という数字にも表れており、SaaSスタートアップの資金調達も難しくなっています。

引用:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB04CFM0U6A200C2000000/

では、この環境の中でSaaS事業はどう戦うべきなのか。
私は以下の3点を抑えているSaaSは淘汰されずに生き残ると考えています。
①業界解像度の高さ
②AIエージェントをむしろ味方につける
③結局は顧客満足度

①業界解像度の高さ

今までは「開発力の強い会社がかなり有利だった」のが、
AIによって開発のハードルが下がりました。

これからは「何を作るかを外さない意思決定」「それを組織でやり切る実行」が勝敗を分けます。

意思決定の判断軸となる業界解像度は、強力なアドバンテージです。課題のアイデアが次々に湧き、過不足ないソリューションを当て続けられれば、SaaS事業を効果的に継続成長させられます。

業界解像度の高さが求められる今、スタートアップに限らず、既存事業で実績を積まれてきた企業様が、SaaSに挑戦されるケースも増えてきました。
業界の強みを起点にして、必要な技術は走りながら積み上げればいい。だから、業界に強い会社ほど、SaaSに挑戦するべきだと思います。

詳しくは以前のnoteでもお伝えしました。

②AIエージェントをむしろ味方につける

これからのSaaSは、人が操作するものではなく、AIエージェントが裏で呼び出して使うものに変わっていくでしょう。
「人が使いやすいSaaS」ではなく「AIに使われる前提のSaaS」が今後求められます。

前提:
SaaSを自社で作るのはセキュリティ面など要件が重く、SaaSというビジネスモデルが消える可能性は今のところない。AIが組み込まれたSaaSの活用が一般化すると推測している。

そうなると「SaaSの提供価値が下がる」と思われるかもしれませんが、逆です。
これまでのSaaSは「入力を効率化するツール」でした。
しかしこれからは「業務そのものを実行するインフラ」に変わっていきます。

SaaS単体ではなく業務代行(BPO)と組み合わせた「BPaaS」として提供することで、
・業務の実行までコミットできる
・月額単価を引き上げられる
・解約しづらい構造を作れる
といった形で、LTVを大きく伸ばすことができます。

AIを活用して実行領域の人件費も最小限に抑えることで、利益も伸ばすことができます。

BPaaSについて

③結局は顧客満足度

ここまで、業界解像度やAIとの共存といった話をしてきましたが、それらは「顧客満足度」を高めるためのものです。
言い換えると「顧客への提供価値の大きさ」「顧客の ”不” をどれだけ解消したか」です。

単に「便利なツール」であるだけでは、これからの時代では簡単に置き換えられてしまいます。

・業務プロセスそのものに組み込まれているか
・データが蓄積されているか
・それを外すとオペレーションが崩れるか
という構造(依存度)を作ることが重要です。

これは、顧客の業務を深く理解し、向き合い続けることでしか実現できません。

実際に、顧客に深く入り込み続けているSaaS企業は、解約率が低く、着実に成長を続けています。
顧客満足度も高まるほどUGC(顧客発信・紹介)も増え、「製造業の業務効率化SaaSといえば〇〇!」のような第一想起も獲得できます。

一方で、解約率の悪化とともに成長が鈍化し、人員削減を余儀なくされているSaaS企業も一定数見受けられますが、営業・マーケで売るのに強みが偏っており、契約後の顧客満足度に課題があったと考えられます。

例えば、1,000社の顧客のうち10%の100社に解約されると、新規獲得数が100社を下回れば顧客数は減少します。
バケツに穴が空いていると、「マーケティング・営業コストはかかり続けるのに売上は伸びない」という停滞状況に陥ります。
解約率が高いとLTVも下がり、広告を打っても費用対効果が悪くなります。

もちろん、初期フェーズでは営業・マーケティングが重要ですが、カスタマーサクセスが一体となって、顧客に価値を届け続ける企業だけが成長し続けるでしょう。
「新規獲得」「継続」の両輪を上手く回し、綺麗なミルフィーユ図が描ける企業が、投資家からも評価されます。

継続率の重要性

最後に残る差は「どれだけ顧客に向き合っているか」です。
SaaSはテクノロジーのビジネスでありながら「ヒト」が重要なビジネスなのだと考えています。

Reminus(レミナス)について

Reminusはスタートアップに特化したCTO代行サービスを提供しています。

製品ロードマップの策定や開発統括、技術判断、エンジニア採用まで、技術領域を丸ごと伴走サポートします。加えて、本記事にあるような、Go to Market組織のAI活用や組織設計なども、サポートできます。

「CTOがいないことが事業の前進を妨げ、機会損失を生んでいる」——こうした課題をお持ちの経営者の方は、ぜひ一度お話しさせてください。

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